ドクター時任は恋愛中毒
慌てふためく水越は、両手で耳を塞いでしまう。頬は真っ赤で、どうやら激しく照れているようだ。……俺の方は、まだ語り足りないくらいなのに。
欲求不満を持て余す俺に、拗ねたような顔の水越が嫌味っぽくこう言った。
「時任先生って、0か100しかないんですね……」
「ん? どういう意味だ?」
「だって、前まで恋愛関係の話は困るとか言ってたのに、今じゃ手のひら返したように、その……私が喜ぶような台詞、ばっかり……」
ぼそぼそと言いにくそうに話す水越だが、俺はなんだ、と拍子抜けした。
恥ずかしいから、あまり俺の思っていることを言って欲しくないのかと思いきや、喜んでいたのだな。それなら、俺は語ることを止めない。
「真帆」
「はい。……って、え? い、今、なんて……っ!」
「? ……下の名前で呼んだだけだが」
「そ、そういうのが、ずるいっていうか、もう、なんなんですか……! こんなの、余計、好きになっちゃう……」
最後のひと言は、蚊の鳴くような声で、ぽつりと呟いた真帆。その台詞に、今度は俺が頬に熱を感じる番だった。
まったく、どうしてそうお前は……。