ドクター時任は恋愛中毒
胸元に注がれる彼の視線につられるようにして、私も自分の胸元を確認する。
うっ……そりゃ、小さいですけど……! 切ないやら恥ずかしいやらで、自分を抱きしめるように両手で二の腕をつかんだ。
「い、いいんですよそこは……! 私は顔のことを聞いたつもりで」
「あ、そうなの? それなら、どこも手を加える必要ないと思うな。真帆ちゃんは可愛いから、自信もちなよ」
「……ありがとうございます」
その台詞、豊胸手術とか言う前だったらうれしかったんだけど……後から言われると、取ってつけた感が否めない。
類さんも男だし、やっぱり貧乳よりは巨乳の方が好きなのかな……。
浮かない表情で考え込む私に、航河さんが言う。
「胸のこと、気になるなら本気でカウンセリングするよ? というか、それこそがお詫びのしるしとして考えていたことだし」
「え?」
「真帆ちゃんには迷惑かけたから、開業したらうちの施術を特別価格でご案内しようと思ってたんだ。もちろん、豊胸に限らずね」
航河さんがにっこり微笑むと同時に、タクシーは目的地のビルの前に到着した。
車を降りると、まるで高級ブランドの路面店を思わせるような高級感漂う正面玄関に出迎えられた。