漢江のほとりで待ってる


依然として由弦の意識は回復せず、一週間が経った。それでも必死で珉珠は由弦の看病を続けた。

事故であんな痛い思いをしたのにも関わらず、痛々しいままで、まだ眠っている彼に、鼻や肺に管を通して、痛い思いをさせるなんて、目を閉じたままの由弦を見続ける度、胸が潰れる思いがした。

「由弦?今日はね?とてもいい天気よ。外はね、彼岸花が咲き始めてるのよ。昼間の陽射しはまだ強いけど、朝晩は涼しくなったわ。もっともっと涼しくなったら、あなたと手を繋いで散歩するの、楽しみにしてるのよ」

由弦に日々の些細な事を耳元で話しかけていた。

手をさすったり、音楽をかけたりしながら。

更に、日は経ち、意識は回復しないもの、由弦は自発呼吸が出来るまでに回復し、一般病棟の個室に移動した。

意識がないながらも、由弦は体を動かしながら、何か訴えているようにも見えた。

「由弦?痛いの?どうしてほしいの?」珉珠が聞いても反応はない。

個室に移動してからは、さらに珉珠は、由弦に付きっ切りで看病した。


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