近づいてよ
変化していく
そんな風に甘やかされて
笹沢さんとの付き合いも3ヶ月目になった

とある金曜日、会社帰りに寄りたい所があるって言われて食事をしてから街を歩いた

付いた場所は美術館

「ここは…夜の美術館なんだ」

「へぇ…面白そう」

入り口を抜けて建物に入るとそこは天井も壁もがガラス張りで

「え……」

外の様だった

広い庭の先は高い塀で囲われているからか
人工の光がほぼ無くて
月明かりが辺りをぼんやりと照らしている

まるで夜の森のようだ

そこに金属で出来たであろう美術品がその淡い光に照らされて点々と飾られている


「夜闇があって、今夜のような月明かりがあって…初めてこれらの美術品が真の魅力を発揮するんだ」

今日は晴れた満月…確かに月明かりできれいに照らされている

それを目当てに結構多くの人が展示物を見ていた

修太郎さんが私の手をぎゅっと握る

「美空……キミもオレといると更に可愛いくなる…んだといいなぁって思う」

「な…修太郎さんは?真の姿あるの?」

何をどうようしたんだかそう聞くと
修太郎さんが耳打ちしてきた

「お望みなら夜の姿も見せてあげるけど?」

……意味がわかって顔が熱くなる

24歳まで未経験……遅いのは分かってる
少女のつもりではないし知識くらいはある

でも…経験はないのですぐに反応できなかった…

戸惑った私を感じたのか
修太郎さんは頭を撫でて微笑む

「ゆっくりでいいよ…大事にしたいから、一生傍にいるんだから焦らないよ」

なんて言われてしまう



…身体の関係もそろそろ深める時なのかもしれない


そうしたら
…光への想いから敢然に卒業出来るかもしれない

そんな風に考え始めた
< 15 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop