近づいてよ
「………」

押し返した瞬間光が声を出さずに何か呟いたように見えた

「何?何か言いたいことあるの?」

光はわざとらしく綺麗に唇だけで微笑む

(あ、誤魔化すときの笑い方だ…)

ってすぐに分かったけれど

頑固な光はそれ以上は聞いても答えないって事も分かってるから追求は諦める

「何でもない……じゃ、まぁとりあえず飯作ってよ
腹へった……今日は佐和子さん居ないんでしょ?」


「うん…じゃあ簡単に作る……スパゲッティでいい?」

私が聞くと光は自分の顎をくいと持ち上げて見下ろすように……

「キノコのにしろよ?美空の作るアレ、俺好きだから」

なんて言う……なんで偉そうなわけ?わからない

確かにバターとたまり醤油で作る
キノコスパゲッティは私が得意なメニューだけど

……まぁ簡単だしね……


「はぁい…じゃ出来たら呼ぶよ、取り敢えず下りよ?リビング待ってて…」

私は自分の部屋のドアを開けると、光が

「だから諦めたらいいのに
お前にアイツの奥さんなんて出来ないだろ」

と、まだ言う

私は聞こえないふりで声には答えずに先に下に降りた

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