イジメ返し3
男のスマホにはロックがかかっていた。

「ちょっと右手を借りるねぇ」

右手を掴み人差し指をセンサーに触れさせると、あっという間に解除できた。

「ふーん。このアプリかぁ」

男の言っていたアプリはすぐに見つかった。

アプリ画面を開くと、カンナと男の詳細なやり取りが見て取れる。

【こんにちは!カンナっていいます!17歳の高校生です。お兄さんの登録地が近所だったので連絡してみました~!今日暇で遊べる人探してます。突然でごめんなさい!よかったら連絡ください】

カンナと名乗る偽物のメッセージに男が食いつく。

【カンナちゃん!連絡ありがとう!今日?暇だよ!会えるよ!】

【本当~?嬉しい!●●駅前の東口に18時ごろ来られる?】

【もちろん!】

【嬉しい!あのね、カンナお兄さんにお願いがあるの】

【なに?俺でよければ聞くよ♪】

【嫌いにならない?】

【なるわけないだろう!俺はカンナちゃんがどんな子でも大好きだよ】

白々しい男の言葉に鳥肌だけでなくため息も出る。

ほんの数十分前に連絡がきた会ったこともない相手のことを大好きだと言える意味がさっぱり分からない。
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