敏腕メイドと秘密の契約
要するにみんなグルだった。

天才:藍に感づかれないため、三浦HSと倉本SE、ジョンを巻き込む大規模な4日間の短期集中型の作戦。

天音のことは"浮かれて周りが見えないだろう"という評価のため、あまり警戒はされていなかったらしいが。

以前からの機密漏洩の犯人は、元副社長から弱味を握られていた人物で、松山が病気で退任したときに、怖くなって自首してきたらしい。それは天音以外の幹部職員には知らされており、文書には記さず内密に処理された。

その時から既に天音と藍を引き合わせる計画は開始されていたというから恐れ入る。


疑われていたとされる副社長第一秘書の田之上だが、
以前から"社長側から元副社長側に送られていた有能なスパイ"というのが本当の姿。

副社長交代後も、現副社長の天音に付いて淡々と仕事をする一方で、天音が三浦HSの情報を細々と集めているのを知り、影ながら情報を提供するいい奴だったのだ。

そして、
レセプションパーティでのパソコンについて。

事の起こりは単純。

搬出直前に専務の忠志が、見つからないようにコンピューター本体を同機種と入れ換えただけ。

パソコンを操作する予定だった職員には気の毒だか、彼らはなにも知らされていなかったため誤作動を始めたコンピューターに本気で慌てたらしい。

天音も藍もシステムエンジニアとして優秀だが、いくら天才でも、ある程度の時間がなければ、その場でジョンからのルートクラッキングを調査することは無理。


藍が新しい機械のセッティングや管理にかかりきりになり、天音はプレゼンの準備がある。

パーティが終われば夜中になり、藍が疲れはてることも計算済。

天音と藍は、まんまと周囲の思惑にはまる形となったのである。
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