極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「来てよかったね」
お茶屋の腰掛に並んでかけて、自然とそんな言葉が口から出る。

「そうだな」

ちらりと隣の彬良くんの横顔に視線を向ける。
目を細めてリラックスした表情だ。普段より無造作なヘアスタイルも、いかにも気取らない休日の姿っていう感じで。

トクン、と胸が小さくはずむ。
会社でのクールな “王子” の顔とはもちろん違う彼がここにいる。そんな彬良くんを、いま一人占めしてる。
そう思っただけで、心拍数が上がってしまうんだから、わたしって相当重症だな。

今までになかった想いが生まれてくるのが分かる。
———ずっと、彼の隣でこうしていられたら。ふたりで同じ景色を見て「きれいだね」って言って、一緒にご飯を食べて「おいしいね」って言えたら。そうやって暮らせたら、なんて幸せなんだろう。

もしかしたら遅いのかもしれないけど、わたしは初めて『将来』という言葉を意識してしまった。
彬良くんは「結婚を前提に・・・」って言ってくれたけど、その意味するところは、わたしの想いと重なっているんだろうか。
そうだといいなと願いながら、そっと彬良くんに寄り添う。

夜は、彬良くんが予約しておいてくれた市内のレストランで食事をした。地元の野菜をたっぷり使ったディナーに舌鼓を打つ。
うーん、やっぱりプロの料理は違うなぁ。
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