極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「そういえば、最近仕事のほうはどう?」

彬良くんの言葉に、やっぱりちょっと考えこんでしまう。
「んー、わたしすごく運がいいなって思うの」首をひねりながら口にする。

「運、か」

「大学を出ただけの本当に普通の子なのに、Eurekaっていう一流ブランドで働くことができて。周りはそりゃすごいひとばっかりだけど、一生懸命やっていると褒めてもらえることもあるし。いつも後ろ向きなわけじゃないから」

そうか、小さくつぶやいた彼の瞳の奥に影がさしたように見えたのは、気のせいだろうか。

「なんでもいいから周りに認められたくて、やけになって俺と付き合ったのかと思ってたから」

「あ、あれは・・・」

顔が熱くなるのが分かる。今となってはだけど、取材を受けてもらうことを条件に彬良くんと付き合うことになったんだった。

「まあ今さら別れたいって言っても、離さないけど」
うっすら笑んでみせる。

「あの、彬良くん、」
言わなくちゃと思う。

ん?という視線をこちらに向ける。

「最初は・・・すこしそういう打算、みたいな気持ちもあったと思うけど。今はちゃんと、っていうのも変だけど、彬良くんのことが好きなの、ほんとに」

「うん、知ってる」
けろりと言う。

「じゃあなんで聞くの。意地悪っ!」

「言わせたかった。意地悪だから」

「もう」
頬をふくらませる。
くやしい。けどしょうがない。こんなにも、このひとのことが好きなんだから。
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