極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
翌日は、予定どおり大原美術館を見学した。込んでいないからゆっくり観られるのが嬉しい。
その後は民藝館でお土産を探した。

おしゃれで日常使いができそうな和食器がたくさん並べられていて、目を奪われてしまう。

「器、気になる?」
ずっと足を止めていると、彬良くんに声をかけられた。

「うん、わたしの料理の腕じゃ、盛り付けにこだわるのはまだまだだけど。おしゃれなテーブルコーディネートができたらいいなって」
いつかこんな素敵な器を使いこなせるようになりたいな。

悩んだあげく、豆皿を二枚購入した。茶色の肌に緑の釉薬がかかっている素朴なものだ。店員さんが、「釉薬が〜」とか「登り窯で〜」とか説明してくれたけど、正直ちんぷんかんぷんだった。
どうやらわたしはつるっとした磁器より、ちょっとざらっとした土の手触りを感じる陶器のほうが好きみたいだ。

今のところ醤油皿くらいしか使い道を思いつかないのが悲しいけど。テーブルコーディネートの本を読んでみるのもいいかもしれない。
なんでも一歩一歩できるようになろう。

豆皿とみんなへのお土産と、倉敷の思い出を大切に抱えて、わたしたちは東京へと帰った。
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