極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「涙はストレスを浄化して、眠りは疲労を回復させる。辛い時には、泣いて寝て食べるのが、シンプルだけど一番だ」
向かいに座る彬良くんが淡々と口にする。

「・・・彬良くんは、辛い時ってどうしてるの」

なにも言わずに、彬良くんは視線をテレビに向けた。野生動物の世界が映し出されている。

「生きるか死ぬか、食うか食われるか。自然界のルールは厳しいけどシンプルだ」

本当にその通りだ。裏工作やら根回しやら妬み嫉みの渦巻く世界から見ると、ずいぶんとフェアに思えてくる。
彬良くんはずっと、三崎さんのような種類の人たちを相手にしなければならなかったんだろうか。だとしたら、なんて厳しくて孤独な場所で生きてきたんだろう。

以前彼が、休日はジムに行ったり、映画を観たり、本を読んで過ごすことが多いと言っていたのを思い出した。
才智とそれを十全に使いこなす能力と、端正な容姿と、ひとの望むものすべてを持ち合わせて、彬良くんは人生楽勝だな、くらいに思っていたけど。

幼い頃からそばにいて、よく知っているつもりでいたけど、わたしは彼のなにを見ていたんだろう。
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