極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
翌日。広報部の昼下がり。

北川さんと香織さんは、でき上がったファッション誌を広げて品評会といった感じだ。
「あのデスク、語彙が少なくて、表現が一辺倒なんですよねー」と香織さんがぼやく。
「うん、あんまりラグジュアリーとかリュクスっていう言葉を連発してほしくないよね。かえって安っぽく感じちゃう」

美奈さんは設計ソフトを駆使して、ポップアップショップのデザイン画作成の真っ最中だ。

わたしはといえば、アンケートの集計中だ。雑誌社の読者アンケートの中から、Eurekaについてコメントがあったものを資料として提供してもらった。その内容を、図表と文章にしてまとめている。

「ええ・・本当に申し訳ありませんでした・・・いえ、そんな・・」

なにかトラブルでもあったのか、北川さんが電話の相手にしきりと謝罪の言葉を口にしている。

「そよかちゃーん」
電話を終えた北川さんが、背を丸めぎみにしてやって来る。

「はい?」

「悪いんだけど、今日この後、代官山に行ってもらえる」

「代官山ですか?」
何があったんだろう。
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