極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
ときめきに満ちた日々がやってきた。
自分の好きなひとが、自分のことを好きでいてくれる。憧れていたファッションに関わる仕事について、人間関係にも恵まれてる。

恋も仕事も順調・・・のはずなのに。心の片隅では、わだかまるものが消えない。

仕事は結局しがないアシスタントで、誇れるようなものじゃない。彬良くんはたまたま幼なじみだったから付き合うことになったけど、本当は釣り合う相手じゃないし。
どこにでもいる普通の女の子のわたしが、こんなに恵まれて幸せでいいんだろうか・・・ふっとそんな思いが差し込むときがある。


「———こんど化繊の服の特集やりませんか? 安っぽいイメージ持たれがちですけど、化繊もやっぱり便利ですよ。丸洗いできるとか、シワになりにくいとか、お値段はリーズナブルだし、雨の日なんか重宝しますし。最近は質のいい化繊の服がいっぱい出てるんですよ。うちでは汗染み防止の特殊加工をほどこしたカットソーが一押しなんです。・・・ええ、すごいでしょう?
誌上でコーディネート特集するの面白いと思うんですけどね」

北川さんの口調はいつもながら歯切れがいい。相手はなじみの編集者だろう。
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