極甘同棲～エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

主に口コミで着実に依頼が増えていて、リピーターも多い。年齢層はどちらかというと高めで、今までEurekaには足を運んだことはなかった、という世代が多いのも特徴だった。
今は銀座店のみだけど、今後は他店への展開も視野に入れることになりそうだ。

時代のニーズに沿った新事業、というのが社内外での一致した評価のようだった。
メディアの注目度も高まっている。ファッション誌だけではなく、経済誌や情報誌からの取材も来ていると、北川さんや瀬尾さんが声をはずませる。

顔を出すことはなかったけれど、担当として彬良くんも何度か取材にコメントを載せていた。

「王子、ますます注目される存在になるね、これは」
北川さんが記事を眺めてつぶやく。

「欲を言えば、もう少し顔出しして欲しいところですけどねー」
と香織さん。

彬良くんのことが話題に出るたび、耳が反応してしまう。彼が褒められると自分のことのように嬉しいのは、わたしが彼のことを好きだから。

しかし、するりと彬良くんの名を口に乗せて評することができる北川さんや香織さんは、仕事人として彼と対等なんだな。
あらためて突きつけられると、ほろ苦い気持ちが胸に広がる。