藤堂さん家の複雑な家庭の事情
「だって今日は――んっ」

あっという間にお腹の辺りまでボタンが外され、スカートの中に入れていたシャツが引っ張り抜かれていく感覚に、腰元がゾワゾワとした藍子はヘナヘナとその場に座り込んだ。


「分かった、藍子。時間ないんだな?」

藍子に目線を合わせるようにしゃがみ込んだ翡翠は理解を示すようにそう問い掛け、


「うん。そう。時間がない」

頷く藍子に微笑んでもう一度「分かった」と言う。


ただその「分かった」というのは、藍子が思ってる意味と翡翠が思ってる意味とは違い、


「お兄ちゃん!」

藍子のスカートの中に入り込んだ翡翠の手が柔らかい内腿に触れた。


「何だよ?」

「遅刻しちゃう!」

「分かってる」

「本当に遅刻しちゃうよ!」

「分かってるっての」

返事とは裏腹に、ゴソゴソと動く翡翠の手は藍子の下着を掴んで軽く引っ張る。


いつもの事だけに何を言っても無駄だと諦めた藍子が黙って少し腰を浮かせると、途端に下着は藍子の太ももを滑っていった。
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