藤堂さん家の複雑な家庭の事情
贈り物
藤堂家のインターホンが鳴ったのは、心実母子《おやこ》が遅くなった昼食を食べて2時間ほど経ってからの事だった。
ソファに座って、見てるのか見てないのか自分でも分からないテレビの画面を眺めていた心実は、チラリと時計を見てから立ち上がった。
「はーい」
そう返事をして、モニターで確認する事もせずに玄関向かおうとする心実の脇を、
「はーい!」
今の今まで床に寝転がって絵を描いていた琢が心実よりも大きな声で返事をして走り抜けて行く。
その琢の素早い動きに足を止めた心実は、琢が絵を描いていた道具を片付けに戻った。
お陰で心実が玄関に行こうとリビングを出た時には、インターホンを鳴らした相手であるトワが既に玄関で靴を脱いでいて、そのトワの前に立つ琢は紙袋を抱き締めるようにして持っていた。
「母ちゃん! コレ、惣一郎君に貰った!」
近付いてくる心実に気付き振り返った琢は嬉しそうに笑い、抱き締めている紙袋を見せようと走ってくる。
その琢の持っている紙袋が、都心にある百貨店の物だと分かった心実は、だからトワが来るのが遅かったのだと分かった。
「何貰ったの?」
ソファに座って、見てるのか見てないのか自分でも分からないテレビの画面を眺めていた心実は、チラリと時計を見てから立ち上がった。
「はーい」
そう返事をして、モニターで確認する事もせずに玄関向かおうとする心実の脇を、
「はーい!」
今の今まで床に寝転がって絵を描いていた琢が心実よりも大きな声で返事をして走り抜けて行く。
その琢の素早い動きに足を止めた心実は、琢が絵を描いていた道具を片付けに戻った。
お陰で心実が玄関に行こうとリビングを出た時には、インターホンを鳴らした相手であるトワが既に玄関で靴を脱いでいて、そのトワの前に立つ琢は紙袋を抱き締めるようにして持っていた。
「母ちゃん! コレ、惣一郎君に貰った!」
近付いてくる心実に気付き振り返った琢は嬉しそうに笑い、抱き締めている紙袋を見せようと走ってくる。
その琢の持っている紙袋が、都心にある百貨店の物だと分かった心実は、だからトワが来るのが遅かったのだと分かった。
「何貰ったの?」