藤堂さん家の複雑な家庭の事情
「リビングでね」
この場で紙袋を開けようとし始めた琢を制して先にリビングに戻っていく。
それでも喜び勇む琢に途中で抜かれ、リビングに入る時にはトワと並んでいた。
「翡翠は?」
心実に先を譲られリビングに入りながら問い掛けるトワに、「この時間ならもう寝てんじゃない?」と心実が答えると、トワは不思議そうな表情を浮かべる。
昼前にあった出来事を知らないトワには、心実の返事は不可解なものでしかない。
そろそろ起きるというならまだしも、「もう寝てる」というのはしっくりこない。
それをトワの表情からすぐに悟った心実は、「昼前に一旦起きてさ」と説明を始めた。
「琢と藍子がまたやらかしてさ。んで、二人を散々怒って部屋に戻ったんだけど、藍子連れてったからすぐには寝てないでしょ。でもあれから1時間半くらいは経ってるからもう寝てんじゃない? 分かんないけど」
その説明で全てを把握したトワは、「あー」と小さく声を出し、
「俺、早番した方がいいかな」
独り言を呟いた。
心実の返事が欲しかった訳ではなく、思った事が口に出たという感じだっただけにトワにとっては本当に独り言のつもりだったのだが、しっかりと聞いて取れた心実にはそうは思えなかったらしい。
この場で紙袋を開けようとし始めた琢を制して先にリビングに戻っていく。
それでも喜び勇む琢に途中で抜かれ、リビングに入る時にはトワと並んでいた。
「翡翠は?」
心実に先を譲られリビングに入りながら問い掛けるトワに、「この時間ならもう寝てんじゃない?」と心実が答えると、トワは不思議そうな表情を浮かべる。
昼前にあった出来事を知らないトワには、心実の返事は不可解なものでしかない。
そろそろ起きるというならまだしも、「もう寝てる」というのはしっくりこない。
それをトワの表情からすぐに悟った心実は、「昼前に一旦起きてさ」と説明を始めた。
「琢と藍子がまたやらかしてさ。んで、二人を散々怒って部屋に戻ったんだけど、藍子連れてったからすぐには寝てないでしょ。でもあれから1時間半くらいは経ってるからもう寝てんじゃない? 分かんないけど」
その説明で全てを把握したトワは、「あー」と小さく声を出し、
「俺、早番した方がいいかな」
独り言を呟いた。
心実の返事が欲しかった訳ではなく、思った事が口に出たという感じだっただけにトワにとっては本当に独り言のつもりだったのだが、しっかりと聞いて取れた心実にはそうは思えなかったらしい。