藤堂さん家の複雑な家庭の事情
リビングでは藍子とトワが琢と遊び、キッチンでは心実が夕食の準備をする。
心実が夕食の用意をし終わった頃、藍子に起こされるまでもなく翡翠がフラフラと起きてきて、心実に「行ってこい」と告げる。
琢も一緒に行こうというトワの誘いは、「オレ、藍子の子守りがあるから」という琢の気遣いが見える言葉で返され、判で押したようにいつもと変わらないアレコレを終えた心実とトワは、いつもより少し早く藤堂家を出た。
「どこか行きたい所ある?」
家の前に停めてあった車の運転席のドアを開けながらのトワの心実への問い掛けは、
「ない」
いつもと変わらない言葉で返される。
それでも、心実がどう答えるのか分かっていながら毎回同じ質問をするのは、トワの優しさと気遣いによるもの。
ただ心実にとってはその割合が、「気遣い」の方が多いように思える。
「たまには外で食べようか」
助手席に乗り込んだ心実に、先に運転席に乗り込んでいたトワは提案をして、ふいに後部座席の方に体ごと振り返る。
何かを取ってるのだろうと大して気にもしなかった心実は、「惣一郎が好きな方でいい」と答え、