藤堂さん家の複雑な家庭の事情
だから極力お母さんと連絡を取ってる事は言いたくない。


聞かれたら嘘は吐けないから、嘘を吐かなくて済むように聞かれないようにしなきゃいけない。


そう考えると、お母さんと喋ったすぐ後にお兄ちゃんと喋ると、色んな事がバレるんじゃないかって思ってしまう。


そういうドキドキ感を味わいたくないから、メールを打ってお風呂場に向かった。


お風呂に入って寝る支度をして部屋に戻ると、お兄ちゃんから返信が来てた。


――おかえり。


その短い返信を見てから、布団に入った。


途端に今日一日の疲れがドッと来た。


起きてられたのは数秒だったと思う。


普段にはないような事が数々起こった、夏休み中のとある一日は、そうして幕を下ろした。



【藍子の変則的な一日】
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