藤堂さん家の複雑な家庭の事情
イレギュラー③
あたし達が入ったのは、昨日と同じでちょっと値段の高いファミリーレストラン。
昨日行ったのと同じチェーンの違うお店。
いつどこで誰に見られるか分からないからこその店選びだったんだろうけど、奢る立場から言わせてもらえば、ファーストフード店でもよかった。
わざわざお店の一番奥まった所に席を取った井上先生は、店内の方に背を向ける席に座る。
そこまで気になるなら奢られずに帰ればいいものを、そこはきっちり頂いてから帰るらしい。
「何食うかな」
席に座って早速メニューを開いた井上先生は、「昼から肉ってのもなァ」って言いながらステーキのページをじっくり見てる。
財布にいくら入ってるか不安になってきたあたしは、逃げて帰りたくなった。
「なあ、お前」
「はい」
「名前何だっけ?」
「藤堂藍子です……」
「藤堂な、藤堂。――で、お前何食う?」
「あー、あたしはドリンクバーでいいかなって……」
昨日行ったのと同じチェーンの違うお店。
いつどこで誰に見られるか分からないからこその店選びだったんだろうけど、奢る立場から言わせてもらえば、ファーストフード店でもよかった。
わざわざお店の一番奥まった所に席を取った井上先生は、店内の方に背を向ける席に座る。
そこまで気になるなら奢られずに帰ればいいものを、そこはきっちり頂いてから帰るらしい。
「何食うかな」
席に座って早速メニューを開いた井上先生は、「昼から肉ってのもなァ」って言いながらステーキのページをじっくり見てる。
財布にいくら入ってるか不安になってきたあたしは、逃げて帰りたくなった。
「なあ、お前」
「はい」
「名前何だっけ?」
「藤堂藍子です……」
「藤堂な、藤堂。――で、お前何食う?」
「あー、あたしはドリンクバーでいいかなって……」