ホテル御曹司が甘くてイジワルです
手を引かれ連れてこられたのは、屋上だった。
「わぁ……!」
スイート宿泊者限定の豪華なスパを通り抜けた先にそこはあった。
プレアデスホテルの屋上にあったのは、ゆらめく水をたたえた広いプール。
ガラス製の柵で覆われたプールは、まるで夜空にとけてどこまでも続いているように見えた。
水面の向こうに広がるのは、きらめく夜景。そして見上げた夜空に浮かぶのは、綺麗な満月。
「すごい……!」
こんな街中で、なににも遮られず満月を見上げることができるなんて。
ロマンティックで特別な空間に、思わず息をのんでしまう。
「さすがに星空はあまり見えないけどな」
感激する私の隣で、清瀬さんがそう言って空を見上げた。
「そんなことないです。じっと目を凝らすと街中でも意外と見えてきますよ」
清瀬さんにむかって、目の周りに手をそえるようにしてみせる。
「こうやって手を衝立にして、周りの光を遮るんです。今日は満月だから夜空が明るいですけど、一等星や二等星くらいなら見つけられますよ」
私の言葉を聞いて、清瀬さんも同じように手で覆いを作り空を見上げる。