ホテル御曹司が甘くてイジワルです


「ずるい男はきらいか?」
「……悔しいけど、大好きです」

ふてくされながらそう言うと、清瀬さんが嬉しそうに笑った。
苦しいくらい抱きしめられて、唇をふさがれる。

ふたりとも冷たいプールに入っているせいで、頬も手も冷たいのに、触れ合った唇の内側は火傷しそうなくらい熱く感じて、愛おしさがこみあげてきた。

「ん……、清瀬さん……っ」

声をもらすと、一緒に水面が震える。
ちゃぷんと水音が響くたび、涙があふれそうになる。


ずっと、誤魔化し続けてきたけど、本当は出会った時から彼に惹かれていた。
立場がちがうから、天球館を買収しようとする敵だから、そう自分に言い聞かせていたはずなのに、清瀬さんのことを知るたびに、どんどん惹かれていた。

それが今こうやって抱きしめられてキスをしているなんて、なんだか夢をみているみたいだ。
私を抱きしめている清瀬さんの手が、ゆっくりと動いた。私の輪郭をたしかめるように体をなぞられ、思わず体が強張った。


「き、清瀬さん……っ!」
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