ホテル御曹司が甘くてイジワルです


ウエストに触れた手の感触に、反射的に胸を押し返す。

「どうした?」

顔色を変えた私を見て、清瀬さんが不思議そうにたずねてきた。

「あ、あの……。こういうの、慣れていないので、心の準備が……」

たどたどしくそう言うと、清瀬さんはそれ以上追及せずに笑ってうなずいてくれた。

「わかった。今はこれ以上欲張らないから、とりあえず部屋に戻ってシャワーを浴びよう。このままじゃ風邪をひきそうだ」

そう言われ、私はほっとしたような後ろめたいような、複雑な気分になった。


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