ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「真央さんがプラネタリウムの解説をしながら、星の中で昴が一番好きだと言ったとき、隣に座る昴が恋に落ちたのがわかったと報告してくれたよ」
そう言ったお父さんに、清瀬さんは口元を腕で隠して真っ赤な顔をしていた。
清瀬さんのそんな照れた顔、初めて見た。
「遠山……」
清瀬さんにじろりと睨まれた遠山さんが、「私は事実をお伝えしたまでです」とすました顔で言う。
「投影の終わったドームの中で、『今までずっと自分の名前を嫌いだと思っていたけど、今日初めていい名前だと思えた』と副社長がつぶやいたとき、あぁ、これはもう完全に彼女に惚れたなと……」
「頼むからもう黙ってくれ」
全面降伏だというように両手をあげて顔をしかめた清瀬さんに、思わず吹き出す。くすくすと笑っているとお父さんに「真央さん」と声をかけられた。
「私は昔から仕事ばかりしていて、あまりいい父親ではなかった。昴をグループの後継者としてふさわしい人物に育てることが当然だと思っていた。しかし遠山からの報告で、あなたに出会った昴がどんどん人間らしく柔らかくなっていくのを知るのがとても楽しみになりました」
「そんなことは……」
お父さんの感謝の言葉にじわりと胸があつくなる。私は慌てて首を横に振った。