ホテル御曹司が甘くてイジワルです

「昴。噂のお嬢さんはこの方だね」

意味ありげな笑みを浮かべるお父さんに、私はなんのことだろうと首をかしげた。

「噂、ですか……?」
「遠山はもともと私の秘書だったから、頼んでもいないのに昴の様子を定期的に報告してくれるんだよ」

清瀬さんの様子を報告するついでに、私のことも話題にあがっていたということだろうか。いったいどんなことを知られているんだろうと不安になって遠山さんの顔をうかがってしまう。

「昴と遠山がはじめてこの場所を訪れたときに、偶然立ち寄ったプラネタリウムで昴があなたにひとめぼれしたこととかね」
「な……っ!」

お父さんの言葉に、清瀬さんが絶句する。
私も驚いてふたりで遠山さんのことを見ると、彼はいつもとかわらぬ涼しい顔でそこに立っていた。

「ひ、ひとめぼれって……」

たしかに、清瀬さんが去年の冬に坂の上天球館で私の星座解説を聞いてから惹かれていたとは聞いていたけど、ひとめぼれなんていわれると、じわじわと頬が熱くなってしまう。

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