ホテル御曹司が甘くてイジワルです
本当に、宇宙の中を泳いでいるみたいだ。暗い夜のプールの中で抱き合ったことを思い出す。
怖いくらい綺麗で幻想的な景色。
私たちがプラネタリウムの投影機の前に到着するのを確認して、館長がゆっくりと話し出した。
「新郎の清瀬昴さんの名前にちなんで、おふたりに愛を誓ってもらう前に、少しだけ昴という星のお話をしたいと思います」
頭上に映し出されたのは、冬の星座。オリオンにおおいぬ座のシリウス。そして昴。
「昴という名前でおなじみのプレアデス星団はいくつもの星の集まりで、肉眼でも五つから七つの青白く光る星を確認することができます。たくさんの星が集まって輝くその姿から、たくさんのものをたばねて支配する『統べる』という動詞から昴という和名がつけられたと言われています。昴さんのお名前には、強いリーダーシップを持ち光輝く人生を歩んでほしいといったご両親からの願いが込められているそうです」
きっと、私たちが準備をしている間に、館長が清瀬さんのお父さんに聞いたんだろう。
壁沿いのベンチに視線をはしらせると、お父さんはおだやかな表情で私たちのことを見ていた。
ただホテル名をつけただけじゃない。ちゃんと清瀬さんの幸せな人生を願ってつけられた名前なんだと胸が熱くなる。
館長の言葉を聞きながらちらりと清瀬さんの顔をみると、彼は星空を見上げていた。