ホテル御曹司が甘くてイジワルです


ついつい表情が硬くなってしまう。お客様に見てもらう挙式なんだから、幸せそうな顔をしないといけないのに。

そんな私を見て、清瀬さんが優しく笑った。

「真央、綺麗だよ。はじめて出会って恋に落ちたこの場所で、愛を誓えるなんて夢みたいだ」
「清瀬さん……」

甘い言葉に頬が熱くなる。思わずうつむくと、目の前のドームへ続く扉がブライダルスタッフの手によって開かれた。

「新郎新婦の入場です」

館長の声にうながされ、私たちは顔を見合わせてから一歩進んだ。
壁際にそって配置されたベンチに座る参加者たちが温かい拍手で迎えてくれる。

「わぁ……」

中は暗闇だった。次第に目が慣れると、頭上の星が浮かび上がっているのがわかる。

一歩踏み出した足元にも、無数の星が輝いていた。

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