情熱的に愛してⅡ
ビールが二つやってきて、部長と乾杯し、しばらくして頼んでいた料理が出てきた。

「どうだ?昇格して、仕事の方は。」

「はい。相変わらず好きです。自分で選んだ仕事ですから。」

私は、当たり障りのない感想を言った。


本当は、同期の目が怖くて、わざと甘くしている。

今年入ったばかりの新人にでさえ、滅多に怒った事はない。

その為か、『清水係長に企画を出せば、100%通る』とまで、裏では言われていた。

厳しくしたらしたで、威張っていると反対の意見が、わんさか出るくせに。


私は、部長に聞こえないように、ため息をついた。

でも、部長はそんなため息でさえ、気づいたみたい。

「なんだ。悩みか?」
< 8 / 52 >

この作品をシェア

pagetop