冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
タオルケットをかけようとしたら、了が目を覚ました。
ジョージさんが帰るとすぐに、ソファで眠ってしまったのだ。仰向けになったまま、了がごしごしと顔を両手でこする。
「俺、また寝てたね……」
「私も帰ってから寝たし。ゆうべ休んでないのよ、今日は早めに寝て」
うん、と返事しながら、ぼんやり天井を見上げている。私は彼の頭側にあるアームレストに腰をかけ、寝ぼけた顔を見下ろした。
「了があんなドスのきいたタンカを切れるなんてね」
私の言葉が脳に浸透するまで時間がかかったらしい。少しの間ぼけっとしていた了は、やがて腕で顔を覆い、耳を赤くした。
「あれ絶対ジョージの脚色入ってる。俺はもっと普通に言った……」
「きっともうしないわね」
「べつに謝罪とかは求めなかったけど、いいよね」
「二度としないでくれたら十分。謝られたところで水に流す気もないし」
子どものケンカじゃあるまいし、明確な悪意から出た行為を謝らせるなんて、ただの茶番だ。
了の髪をなでると、彼がその手を取った。
「三人で出歩けるよ」
「うん」
私の指に唇を押し当て、くすぐるようにキスをしながら、了は本当にうれしそうに、くすくす笑いだす。
「ジョージとも話したんだ。父さんと母さんをここへ招いて、暮らしが落ち着いてることを見せて、安心させたいよね」
「そうね」
「だれも急ぎすぎてないことを納得してもらって、今度こそ結婚しよう、早織」