ファンタジーのその先
「嗚呼、わしが案内した。14215、その番号が奈都じゃ。最も今は記憶を無くしておる。ここへ来る前のことは何も覚えておらん。奈都という名前も覚えておらん。」
じいさんは奈都を囚人のように14215と呼んだ。
「じゃあ…俺のことも……。」
「嗚呼…。」
「そんな……。」
「まだ希望はある。14215、もとい奈都はここに来るべきでは無かったんじゃ。わしの上司が奈都を気に入り、奈都のファンタジー好きに付け入り扉を開かせた。お主は条件を満たさずして扉を開いてしまった、だから記憶を無くしてはいない。」
「条件…?」
「条件にはあの本を最初から最後まで全て読みストーリーを理解する事、女性であること、そして、これは後々説明するが天界に下界から呼ばれた準天使が一定人数以下であること。それらの条件により準天使は選ばれる。」
よくわからない単語がじいさんの口から飛び出してくる。
「そうだな、中途半端に説明してもわからないだろう…。その部屋を出て右へしばらく歩くとドアがある。わかるか?」
「はい。」
「そのドアを開けて入って来なさい。そこで詳しく説明しよう。」
俺はじいさんの言う通りに部屋を出て右へ進み見つけたドアを開けて入った。
「失礼します…。」
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