その花が永遠に咲き続けますように
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翌日の練習終了後、私と永君は藤先生の車に乗せられ、行き先もわからないままどこかへ向かっていた。

永君と並んで座る後部座席の窓からは、ビルや建物が立ち並ぶ都会の景色が見えてきて、そう言えば気付いたらもう一時間近く車が走っていて、地元から大分離れた都会に来ていることがわかる。


先生、ほんとにどこへ行くんですかって何回か聞いたけれどどうしても教えてくれないから、目的地に着くのを大人しく待つことにした。
どこに行こうとしているのかは皆目見当もつかない。



そうしてようやく着いた場所は、高級そうな音楽スタジオ。


一体、何でこんな所に? 到着してからも先生の真意はわからない。


車停めてくるから先にロビーで待ってて、と言う先生の言葉通り、私と永君は車を降りてビルの中に入った。


広いロビー、高級そうな内装、インテリア等もお洒落だ。


「みんとの樹とはちょっと違うね」と永君に言うと、


「あそこは俺の親戚が趣味みたいなもんで経営してるところだから、こんな高級そうなスタジオと一緒にしないでやってよ」


と返してくるから少し笑ってしまった。


そしてすぐに先生がやって来て合流する。


先生は受付の方と何やら言葉を交わすと、「さあ、行くよ」と、後ろにいる私達に声を掛ける。

ここへ来た目的がさっぱりわからない私と永君は、そんな先生についていくことしか出来ない。
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