その花が永遠に咲き続けますように
「まずは、話し合いや準備などのまとめ役である文化祭実行委員を決める。誰か立候補はいるか?」

担任は教室内を見渡しながらそう言うけれど、手を挙げる人は誰もいない。


担任が〝困ったなぁ〟と言わんばかりの顔をする。
私は名字が〝相澤〟だから学籍番号が一番で、窓際の一番前の席だから、担任のそんな表情もよく見える……けれど、とてもじゃないけど実行委員をしようとは思わない。もっとも、私なんかがそんなものになったって誰もついてこないと思うけれど……。



「じゃあ、推薦はあるか?」

担任がそう質問を変えると、隣の席の女子がパッと手が挙げた。



「恵那子(えなこ)がいいんじゃない⁉︎ 真面目だし、皆のこと上手くまとめてくれそう!」


その直後に、教室の真ん中辺りの席から「えぇっ、私〜⁉︎」という女子の声が聞こえてきた。


間違いなくソプラノと言い切れるくらいの高い声で、良く言えば可愛い声で可愛い口調、悪く言えば空気が抜けているようなあまりはっきりとしない喋り方だった。


どんな子かと気になってチラッと振り返れば、黒髪のロングヘアーで、パチっとした瞳、肌がとにかく白くて細身の、人形のような容姿でとても可愛らしい子だった。



すると教室内からは次々に、


「恵那子なら皆がついていくよ!」

「そう言えば中学の時もやってくれてたじゃん! 皆で協力するし、お願い!」


という声が挙がっていく。


……あの子は、いつも周囲に頼られているような人気者なんだろうなあ。凄いなぁ。中学時代のことなんか全部捨てたくて、わざわざ家から遠いこの高校に通っている私とは大違いだ。
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