その花が永遠に咲き続けますように
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翌日。荻原さん、竹入君、瑠夏の三人には、朝のホームルームが始まる前に教室で前座の件を話した。

当然ながら……皆、驚いていた。


「何? もしかしてドッキリ? カメラ仕掛けられてる?」

竹入君がひきつった顔でキョロキョロと教室を見渡す。おかしな光景だけれど、私だって彼の立場だったら同じ様なリアクションを取っていた気がする。


「何だか突然過ぎて全然実感ないけど……でも、咲ちゃんの作った曲と詞が認められたってことはとっても嬉しい!」

荻原さんの言葉に、瑠夏もうんと頷いた。

三人共、数ヶ月後に武道館のステージに立つというとんでもない展開は否定しないでくれて嬉しかった。だけど……。



「……この話を本当に受けていいのかは、まだ迷ってる。だって、きっと永君はステージには立てないから」


いくらこの曲と詞が永君を想って作られたものだとしても、その彼が立てないステージでそれを演奏するのは正解なのだろうかって。彼に嫌な思いをさせるだけじゃないのかって。そう考えたら、レイのテストに結局合格したことはまだ永君には言えていない。


すると、落ち着きを取り戻した武入君が、さっきとは打って変わってゆっくりと口を開く。


「何が正解なのかはわからないけど、俺はステージに立つの、いいと思う」

「え?」

「咲の気遣いが間違ってる訳じゃねえよ? でも、それが理由でステージに立つのを断ったら、それこそ永は嫌な思いするんじゃないのかな。永を気遣ってステージに上がらないより、永の為にステージに上がらないか? だって、確かに永はステージには立てないだろうけど、たとえその場にいなくても、seedsはいつだって五人じゃん」
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