その花が永遠に咲き続けますように
日奈からの思い掛けない告白に、嬉しさよりも驚きが勝る。

そう言えば私は、日奈から何かを褒められたことは一度もなかった。日奈はきっと、いつでも自分が一番でありたいと思っていただろうし、何より私は見下されていたから。


そんな日奈が、私の歌をそんな風に思ってくれていただなんて。しかもそれを、言葉にして伝えてくれるだなんて。



「……ありがとう」


余計な言葉は必要ないと思った。だけど、その分、気持ちだけは十分に詰めてその言葉を伝えた。


私達は友達じゃない。だけど、この瞬間だけはお互いの気持ちが誰よりも通じ合ったような、そんな感覚がした。



ライブは行くかはわからないけど、頑張って。と、日奈はその言葉を最後に、振り向くことなく家の中へと入っていった。


「……うん」

私も、彼女の背中にそれだけ返して、自分の家へと向かって歩きだした。
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