その花が永遠に咲き続けますように
「……オリジナル曲」

「え?」

「今度はオリジナル曲、やろう」

勇気を出してそう伝えた。
永君は少し驚いた顔をしていた。

そして、信号機が青に変わったから、私達は再び歩き出す。


「今回もセットリスト決めながら、オリジナル曲出来たらいいよねなんて話したじゃない? 今回は洋さんから止められて出来なかったけれど、次回はやってみたい。あと、やっぱり私もギター弾けるのようになりたいから、音にもバリエーション出るだろうし。
……やりたいことたくさんある。だから、色々やろう?」


自分の意見や気持ちを、こんなにも誰かにはっきりと伝えるのはいつぶりだろうって思った。

だから緊張したけれど、永君なら否定せずに受け止めてくれるとも思ったから、ちゃんと言えた。


……だけど、永君は困ったような顔をして私を見つめるのみで、何も言わない。


「永君?」


私が名前を呼ぶと、彼はゆっくりと足を止める。
私も同じように立ち止まる。


すると……。



「ごめん、咲。ずっと言わなきゃって思ってた。でも、言えなかった」

「何?」

「咲とバンドがやれて、本当に楽しかった。それは嘘じゃない。だけど……


咲とバンドを組むのは、今日が最初で最後だ。〝次〟はもうない」
< 66 / 183 >

この作品をシェア

pagetop