その花が永遠に咲き続けますように
えーーと、電話の向こうの彼が言葉に詰まる。


わかってる。無茶なことを言っているって。

文化祭でのステージが終わって一緒に帰ったあの日、もうバンドはやらないと私に告げた彼の顔は、何だか苦しそうだった。

理由は結局わからずじまいだったけれど、言いづらい理由、もしくは言いたくない理由なんだろうというのは明らかで、だからこそあの日はそれ以上追求はしなかった。


だから、それをわかっているうえでこんなこと言い出す私はきっと最低なのだ。だけど、どうしても……



「……私、やっぱり永君ともバンドがしたい」



どうしても、この気持ちが抑え切れない。ステージで彼が奏でたギターが心地良くて、忘れられそうにない。
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