その花が永遠に咲き続けますように
「永君……」

立ち上がって、彼を見つめる。

うっかり、涙が溢れてしまいそうになった。


彼はそんな私を見て、いつもの穏やかな口調で言葉を紡ぐ。


「色々考えたけど……やっぱりもう一度、音楽やりたいなって思った」

「……うん」


すると彼は、荻原さん達三人の方を向いて、


「吉宮 永です。ギターが弾けます。よろしくお願いします」


と、明るい笑顔でそう伝えた。


三人は彼のことを優しく歓迎する。


嬉しい。また永君とステージに立てるんだ……!



荻原さんが奥に席を詰めるので、私も動揺して、永君が私の右隣に座る。


そうしたところで武入君が、

「まずは自己紹介な。俺はーー」

と名乗ろうとするけれど。



「ドラムの武入君、だよな? その隣がベースの白山さんで、咲の隣にいるのがキーボードの荻原さん」

「お、すげぇ。何で知ってんの」

「咲が電話で教えてくれたから」


な? と言われて、思わず恥ずかしくなり、彼から目を逸らして言葉にも詰まる。



「名前知っててくれてありがとうな。じゃあ、いきなりなんだけど俺からちょっと質問してもいいかな?」

武入君が永君にそう言い出す。何を聞くのかと思い、私も彼の言葉の続きを待っているとーー



「八組の吉宮君、っていうのは嘘だよな? 本当は何年何組? ていうかそもそもうちの高校の生徒?」



と、全く予想していなかった質問で……。
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