珈琲プリンスと苦い恋の始まり
「俺はずっと愛花の側にいる。
例え君の肉親のように命が急に無くなっても、絶対に君の側から離れずに付いてる。

君がもういいから離れて…と頼んでも、絶対に拒絶して動かない。

俺は愛花と離れてる間、ずっとそう思って暮らし続けていたんだ。


二度も急に命を見送ることになった君に、

冷たくなった体を触って、自分の心まで凍て付かせてしまった君に、



……命があることを伝えたかった。

俺が生きてるから、明日を待ち望んで生きて欲しい、と願いたかった……」



君が好きだ…と囁く彼の声が泣いている。
私はそれを聞いてると胸が痛くて堪らない。

私のように、いつ死んでも構わない生き方をしてきた人間を、そこまで好いてくれて切ない__。


「お願いだから、俺に帰れなんて言わないでくれよ。俺は……愛花の隣に居たいんだ…」


居させろ…と最後は命令のように呟く。
それを聞くと涙が溢れて、ぎゅっと彼の上着にしがみ付いた。


「……っ…」


声にならずに涙だけがボロボロと溢れてく。

その涙が冷えずに彼の服を濡らし、私は彼に向かって叫んだ__。




< 253 / 279 >

この作品をシェア

pagetop