珈琲プリンスと苦い恋の始まり
いつまでも一緒に…
「いい加減にしろよっ！」


怒鳴り声を上げた彼が、私の腕を握ったまま回り込んできた。両方の手で私の二の腕の辺りを掴み、大きく息を吸って言った。


「俺は愛花の居る町に戻ってきたくて帰ったんだ！
君のことを抱き締めたくて、そして、生きてると実感したくて！」


こうして…と背中に腕を回して抱き付く。

彼の胸の中に収められる様に抱かれて、熱が私のことを包み込んだ。


「俺は、毎日こうして愛花を抱き締めたかった。
朝、顔を見たら「おはよう」と言って、夜は「おやすみ」と声を掛け合って眠りたかった。

一緒に朝霧の中を散歩したい…と何度思ったか知れない。
美しい星空を眺めて、共に流れ星を見つけたら、願い合いたいと思ったよ…」


『いつまでも一緒に居させて欲しい』と……。


彼はそう言うと更に力を込めて抱いた。
私は彼の胸板に頬を寄せ、その温もりと心臓の音を感じた。


彼の体は温かだった。
私を包む腕も暑いくらいに温かで、頭に回ると優しく髪の毛を撫で擦って、「もう何処にも行かない」と言った＿＿＿。


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