珈琲プリンスと苦い恋の始まり
「最初のキスも弾みじゃないよ。今の君みたいに、可愛くて堪らなくないからキスをしたんだ……」


俺は教えながら彼女の顔中にキスを贈る。

彼女はそれをじっと受け止め、最後にもう一度唇を重ねた。



「甘い…」


唇を離すとそう呟いて微笑む。
その嬉しそうで恥ずかしそうな笑顔に、俺は苦しいほどの恋しさを覚えた。




「__私、今夜はもう空蝉を撮らない…」


彼女はそう言うと、俺にお願いがあると頼んだ。


「武斗さんとツーショットを撮りたいの。
二人の今日が、始まった記念に……」


泣き顔で恥ずかしいけど、と言いだす彼女の提案に応じる。

庭の片隅に移動して一緒に撮った写真の俺達は、目も鼻も真っ赤だったけど、最高に幸せそうで、そして、何より……


笑い合っていた___。


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