惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~

「手を繋いでいるのを見たって人がいるんだけど……」


彼女は眉をひそめて私をじっと見つめた。
たぶん一緒に帰った日のことだ。空き巣に入られた日の帰り。


「いえ、あの、それは……」


どう誤魔化したらいいの……!
森くんならともかく、相手はこれまで話したこともない先輩。女子社員だから、陽介さんに近寄る女性に対しての目も厳しい。


「その情報はあてになりませんね」


私がただただ焦っていると、森くんがふとそんなことを言って、私を軽く庇うように立った。
佐々木さんと私が、揃って森くんを見る。


「香奈は俺と付き合ってますから」
「えっ、そうなの?」


彼女のように声には出さなかったけれど、驚いたのは私も同じ。


「はい。誰かと見間違えたんじゃないですか? なぁ、香奈」
「う、うん。……そうだと思います」


< 117 / 143 >

この作品をシェア

pagetop