惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~

「実際に歩いてみて、数字以上の広さを感じました」
「田宮さん、いつの間に現地へ行ったんですか?」


うっかり口を滑らせた私に、みんなの視線が集まる。


「あっ、えっと……」


そこで目の合った陽介さんは楽しそうに満面の笑みを浮かべていた。

実際に行ったと答えてもいいものか迷う。これまでも現地へ行くことがあったけれど、そのときは岩崎部長や部内の人たちと行くことが常だったから。単独行動をどう思われるのか心配だった。


「田宮さんの言うとおりかもしれません」


困っている私を見かねたのか、陽介さんが助け船を出してくれた。


「普通の速度で歩いて十五分から二十分という予測に間違いはありませんが、宿泊客の中には当然ながら高齢者や足の不自由な方もいらっしゃいます」
「なるほど」


陽介さんの言葉に岩崎部長がうなずく。私からみんなの気が逸れたことでホッとして、その後を私が続ける。

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