惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
自分から言い出しておいたくせに、いざ一緒にとなると途端に尻込みする。自分から進んで男の人と一緒のベッドに寝ようとする女なのかと呆れられたかもしれないという後悔もあった。
「香奈の嫌がるようなことはしないから心配するな」
少し困ったように眉を下げ、陽介さんが私の頭をポンポンとする。
「それじゃ寝ようか」
「……はい」
結局私の提案したとおり、ふたりでひとつのベッドに寝ることに。
広い広いベッドの端に横になり、陽介さんに背を向ける。
口で言うのと、行動に移すのとでは訳が違うと、改めて実感した。離れているとはいえ陽介さんの気配を背中にひしひしと感じ、当然ながら眠気のねの字も出てこない。
「香奈」
いきなり呼ばれた名前にベッドから転がり落ちるほど驚いた。
「そんなに隅っこに寝てたら落ちるよ。もっとこっちにおいで」