しふぉん・けーき
「真」

と、俺を呼ぶ声がした。

振り向かなくてもわかる。

「何だ?朱莉(あかり)。
俺は、今忙しいんだよ」

「あら。
そんなの自業自得なんじゃないかしら?
どこをほっつき歩いているのか知らないけど、出勤が遅いのはあなたの責任じゃないかしら?」

と、毒舌なこの女は、俺の秘書にあたる榎枝朱莉(かえだあかり)

知的な能力と、鋭い感性と、超絶美人を兼ね備えた彼女は、毎日のように男からナンパされる。

ちなみに彼女は俺の6歳上だ。

「へいへい・・・それはすみませんでしたね」

「なにそれ。むかつく。
いいわ。真、これもお願いね」

と山積みになった書類を俺のデスクにドーン!!とおく。

「お、おい・・・!!
なんだよ、これ!?」

「わたし、これからコンパなの。
だから、お先に失礼するわ。
じゃあね。せいぜいがんばりなさい、バカ」

と、優雅に歩いて去って行った。
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