拾い恋(もの)は、偶然か?



カフェを出て、私たちはしばらく街をぶらついてみることにした。だけどやっぱり服のブランドや小物にいたるまで、私と松崎さんは正反対のものを好むらしく、行く先々で揉めることに。

それでもこうやって誰かと出かけることはなくなっていたから、それなりに楽しかったりする。


「ん?」

結局ショッピングは入る店で揉めるから、その辺の雑貨屋を見て回った後そろそろお昼でもと思っていた矢先。立ち止まった松崎さんを追い越して振り返れば、松崎さんは目を細めて道の反対側をジッと見つめていた。


「どうしたんですか?」

「あれ、鳴海じゃない?」

「え?」


松崎さんの指さす方向を見ると、確かに鳴海先輩が。私服でかなり雰囲気が違うけど、間違いない。


休日に先輩に会うことなんて普通にあるだろう。会社の近所で遊んでいるんだからありうる話。


ただ、一緒にいる人が凄く意外だからか、なぜか私たちは咄嗟に木の陰に隠れた。


「なんで松田部長と?」

「やっぱり、営業部の松田部長ですよね?翔吾さんの親友の。」


木の陰からは、オープンカフェにいる2人が辛うじて見える程度。さすがに表情までは読めず、思わず一歩前に出てしまう。




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