拾い恋(もの)は、偶然か?
「部長よね、絶対。」
「そうそう。移動先があの営業でしょ?あ、営業部長ってあの?」
「松崎さん、しつこい。何もないから。多分。」
「あっ、それ凄く引っ掛かるんだけど!まるで何かあったけどまだお互い気持ちが伴ってませんみたいな展開じゃないでしょうね?」
混乱している私に優しく状況を説明してくれる優しい先輩はどうやらいないらしい。
「さすがに5年も付き合ってたら、ショックが大きくてさー。ヤケ酒くらいするでしょ?」
「そこでなんで部長と繋がるのよ。しかも天下の松田総士。私も狙いたかったくらいよ。」
「……あんた彼氏いるでしょ。」
「出会う前よ。」
「出会う前は司馬部長でしょ。」
「その、前よ。」
「あの。」
とりあえず、私の存在を2人に主張しておく。どうやら効果は表れたようで。2人揃って何よ?とばかりに私を見てくる。
「とりあえず整理させてください。七瀬さんはともかく、」
「ともかくしちゃうんだ。」
「どうでもいいんでしょ。」
「ちょっと聞いて。」
人が話していれば、間髪入れずほんと。2人揃って私をいじって楽しんでいるに違いない。