拾い恋(もの)は、偶然か?



「嫌か?」

「う。」


目がウルウルする、というのはこういうことを指します。子犬のような目は私に問いかける。


『こんなに可愛い僕を捨てるの?』と。


「嫌ではありません。」

「ふ。」


まぁ結局、別に嫌なわけじゃないから即答するんだけど。翔吾さんがなぜか勝ち誇ったように笑う。

「はぁ。もういいわ。食おうぜ。」

「すいません。」


そして松田部長は匙を投げた。私もそれに倣って、目の前のごちそうに集中することにする。


しばらくは、翔吾さんの甘い視線に悩まされながらも無事に食べれていた。タリアテッレという聞きなれない料理もすごく美味しくて、思わず叫びだしそうになったほど。

料理を半分ほど食べたところで、翔吾さんと料理を交換。さりげなくそうしてくれたのか、こちらはさっぱりした味でとても美味しかった。


「美味いか?」

「はい、すっごく!」

「ん。」


食べ進める間もこうして色々話しかけてくる翔吾さん。こまめにワインもついでくれて、いつもの家モードという感じ。


「うぜぇ。」


対して松田部長。さっき匙を投げたはずなのに相変わらずの喧嘩越し。時折聞かせるように吐かれる暴言は俺にもかまえと訴えかけているようだ。



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