拾い恋(もの)は、偶然か?
無言で私を見つめてくる社長。賭けの内容を言えと言っていると勝手に理解しよう。
「翔吾さんに選ばせませんか?私か、あなた方かを。」
「なんだと?」
社長の眉がピクリと動く。不愉快ですとばかりに顔を顰めてみせた社長の私を見る目は、軽蔑にまみれていた。
「音。」
私の手を引く翔吾さん。振り返って笑って見せた。ジッと見つめ合う内、私と翔吾さんの中でなんとなく、会話がなされていく。
私の意図、というより、私の覚悟を読み取ってくれただろうか?ジッと私を見つめる翔吾さんの目が左右に揺れて、伏せられた。
この人は、はっきり言って情けないと思う。だけどそうさせているのが環境であり、この両親なのも理解できていた。
私と結婚したいのなら、私と一緒にこれからの人生を歩いてくれるのなら、翔吾さんは立ち上がるしかない。
それは何年後とか何十年後とかじゃなく、今なんだと気付いてほしい。
もしこの賭けに私が負けるとしたら、それは翔吾さんと私の別れを意味する。
私は今、家族か私か、翔吾さんにどちらかを選ばせようとしている。
酷く残酷なことだとは思っていても、今の私ができる精いっぱいのことだった。