拾い恋(もの)は、偶然か?
「っっ、」
そう思うと、つらいと思うのはしょうがないじゃない?泣きたくなるのも、しょうがない。それだけ私は、翔吾さんを愛しているから。
それなのに、翔吾さんはあっさりと私を後ろから抱きしめて。
「もちろん俺は、音を選ぶよ。」
あっさりとそう言ってしまうんだから、この人にはほんとに、敵わないと思う。
「翔吾!」
社長の怒鳴り声もどこか遠くで聞こえていた。離さまいと私を抱きしめる翔吾さんの腕が小さく震えていることが気になって、気になって。
「父さん。確かに俺は、欠陥品だ。」
自分で選ばせたのに私は、翔吾さんに選択させてしまったことに、胸を痛めている。
「音のご両親にも反対されるかもしれない。自分と結婚することで俺は、音に当たり前の幸せを与えてやれないから。」
その声は震えている。それなのにはっきりと、翔吾さんの覚悟が見える。
私を後ろから抱きしめて、何度も確かめるように抱きしめなおす翔吾さん。その行為が愛おしくて、翔吾さんを見上げた。
かち合った目は、私をまっすぐに見ていて、愛おしいと語る目が、私の心を満たしていく。