拾い恋(もの)は、偶然か?




「残念ながら、社長の負けですね。」


ティーカップを置いてそう言ったのは、明日香さんだった。その目はまっすぐに私を射抜いていて、気を抜けばすべてを見透かされてしまいそうに感じた。


まるで、私の覚悟を図っているよう。

ここ最近親しくしていた明日香さんはどこにもいない。まるで初めて会った別人のように、明日香さんの視線は私を探り続けていた。


思わず、体が強張る。だけどなぜか明日香さんから視線が外せない。


数秒だったかもしれないし、数分、いや、数十分だったかもしれない。見つめ続けたその綺麗な目が外された頃には、とてつもない疲労を感じていた。



「古蝶音。彼女のことを社長はどれだけご存知でしょうか。」


ソファーに深く腰掛け、頬杖をついているさまはまるで女王様のよう。明日香さんは"少々"悪人面というか、そう見られがちなものだから誤解を受けやすいけど。


だけど中身は普通の可愛らしい女性だ。正直、私よりもしっかり。


「ある程度は調べた。」


多少は覚悟していたけど、社長の言葉に軽く引いた。人のプライベートを本人の前であっさり調べたとか言うなんて。



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